日本国民のマインドセットが物価を押し下げている

相場観
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モノの値段は需給バランスで決まる

資本主義では物価というのは需要と供給で決まります。オークションで見られるやり取りを想像していただければ分かりやすいのですが、買いたい人が沢山いるとモノの値段は上がっていきます。逆に買いたい人が少なくて売りたい人が多ければモノの値段は下がっていきます。

大勢が買いたいのに供給できていないとか、極端に需給のバランスが悪いところにはビジネスチャンスがあるものです。そういったアンバランスは日本のように経済が習熟してくるとほとんど見られなくなってくるものです。

需要はそう簡単に増えない

人は生きていれば生活に必要な消費を行います。生命を維持するのに十分の食事がとれて、必要な衣服があって、安全に生活ができていればそれ以上の消費は贅沢とも言えます。

節約を生きがいにしている人さえいます。環境に配慮するためにも消費を抑えようとする動きもあります。車を買うのをやめて公共交通機関を使うようにしている人たちもいます。こういった節約は一見良いように思えますがGDPを下げる行為です。日本ではそれが美徳化しているのは実は経済発展に大きな足かせになります。

最低限の生活が十分できるような環境では一人当たりの消費を増やすことは容易なことではありません。例えばハロウィンが最近日本で盛り上がりを見せていますが、ハロウィンに増やした支出の分、クリスマスの支出を抑えて全体の消費は変わらない結果になります。余暇への支出は将来への不安などが解消され精神的なゆとりがないと増えません。

全体の需要を増やすには人口を増やすことか国民一人当たりの所得を増やすことですが、どちらも国民のマインドセットを変える必要があって課題が多く単純ではありません。

供給はイノベーションにより時とともに増えていく

景気はどうであれ、企業は存続のために常に新しいサービスや製品を生み出し続けています。研究機関が画期的な発明を繰り返しています。中にはインターネットのように産業の在り方さえも変えてしまうようなイノベーションもあります。これらは基本的に我々の生活をより良くしてくれるもので、歓迎すべきものです。

イノベーションはすでにある需要を喚起することができますが、それと引き換えに失う需要もあります。失われた需要により古い産業が生まれてしまします。結局全体の需要に関していえばあまり変わらなかったり、喚起された一部の需要は一時的でしぼみ、逆に失われた需要が大きいといったことも起きます。

しかし供給はイノベーションによって持続的に増えてしまいます。例えば産業用ロボットが進化することで労働者を減らせるだけでなく安定した品質で安価にモノを生産できるようになります。農業技術の進化によってより収量が増やせるようになったり安定して生産できるようになります。

このような生産性を向上するようなイノベーションがそこら中で起きています。供給能力は日に日に高くなり、安価にモノを生産できるようになり、供給はより潤沢になっていきます。

 日本国民のマインドセットを変えないと物価は上がらない

このように節約方向に傾いてしまっている国民のマインドセットが変わらないのであれば全体の需要には変化が少なく、イノベーションにより供給は多くなり続け結果として物価は押し下げられます。

日銀のインフレ目標2%を達成するためには日本国民のマインドセットを変える必要があるわけです。日銀はできる範囲の中でマイナス金利導入とか頑張ってはくれていますが、日本国民のマインドセットを変えるまでに至っていないようです。

日本はGDPにさほど変化はなく変わらない生活ができているのですが、2000年に世界4位だった一人当たりの名目GDPは、2015年には26位まで下がっています。勤勉な国民性が裏目に出て経済成長が他の先進国と比べて大きく遅れを取っていることに日本国民は気づくべきです。

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