ダウの名前を聞いてピンとくるかもしれませんが、ダウ平均株価を考案したチャールズ・ダウのダウです。ダウはエドワード・ジョーンズとダウ・ジョンズという通信社を1882年に設立し、そこが発行しているウォール・ストリート・ジャーナルに自ら連載を持っていて、そこで公表したものがダウ理論(Dow Theory)になります。
ダウ理論は19世紀の終わりから今に至るまで、テクニカル分析の基本的な考え方として支持し続けられています。
ダウ理論の6つの原則
市場の3つの動き
沖に出て海を見ていると、海面は近くで見ると風に吹かれてさざなみができていて、少し離れてみると波のうねりがあって上下しているのがわかります。更に月の影響をうけて満ち引きもしています。
満ち潮に相当する上昇相場、引き潮に相当する下落相場があって一年くらいから数年にかけてトレンドを形成します。このことをメインとか、プライマリーとか、メジャートレンドとか言います。
波のうねりに相当する、3週間から3ヶ月間くらいの上昇トレンドや下降トレンドがあります。このことをミディアムとか、セカンダリーとか、インターメディエイトとか言います。
さざなみに相当する、3週間未満のトレンドも形成され、このことをショートとか、マイナーとか言います。
トレンドの3つのフェーズ
メジャートレンドは、アキュミュレーション・フェーズ、パブリック・フェーズ、ディストリビューション・フェーズの3つのフェーズで構成されます。
アキュミュレーション・フェーズ
一部の投資家が情報を得て、一般的な認識とは異なる方向に買い始めたり、売り始めたりします。情報を得ているのは少数派で、株価には大きな影響は与えません。
パブリック・フェーズ
トレンドフォローやテクニカル分析重視の投資家が変化を察知し市場に参加し始め、相場は急騰または急落し始めます。
ディストリビューション・フェーズ
新聞やテレビなどのメディアで強気や弱気の報道があり、一般の投資家が参加し始める段階です。アキュミュレーション・フェーズで買い集めていた投資家はこの段階で売りぬけを始めます。
平均株価はすべてを織り込んでいる
一部の株ではインサイダーのような情報の非対称性が起きるかもしれませんが、平均株価など総体では、全ての情報や知見がほぼ織り込まれています。人々に知られる可能性があるものは全て相場に織り込まれていることになります。
地震などの自然災害のような想定外の出来事でさえ、それが知れた時点で瞬時に織り込み影響度が価格に反映されていきます。ダウは効率的市場仮説を前提としているということですね。
一つだけの平均株価に頼らない
工業株価平均と鉄道株価平均で、どちらか一方にブルシグナルかベアシグナルが出たとしても、両方で同じシグナルを出さなければ重要でないということを言っています。
当時は、工場で商品を製造してそれを鉄道で輸送していました。工業で調子が良いということは商品を沢山生産しているということですが、それが物流に乗って消費にわたって消費されていなければ、どこかで在庫を抱えてるだけですぐに生産にも陰りが出てきます。
このように一つだけの平均株価だけをみてシグナルを判断するのではなく、関連する複数の平均株価をみて判断する必要があります。
出来高でトレンドを確認する
出来高を伴った値動きでトレンドを確認することができます。メジャートレンドの方向では出来高は増加して、メジャートレンドと逆らった方向では出来高が減少します。ただし出来高は補完的な指標と考えます。
トレンドは明確な終了シグナルが出るまで続いている
たとえメジャートレンドと反対方向に動いたとしても、それが一時的なもので、また元の方向に戻るということを第一に考えておく必要があるということです。もちろんそのまま反転してしまうかもしれませんが、それは明らかにそうなるまでは二番目のケースとして保留しておくということです。
ダウのトレンドの考えと終了シグナル
ダウが上昇トレンドと下降トレンドをどのように考えていたかを明確にしておく必要があります。
ダウの上昇トレンドは、前の上昇で付けた高値よりも、今回の高値のほうが上回って、かつ前の上昇で付けた安値よりも今回の安値のほうが上回って引けていることです。下落トレンドはその逆になります。
ではどのようにしてトレンドが終了するかですが、上のパターンを満たさなくなったときです。高値と安値を切り上げていく上昇トレンドが、ある日前の安値を下回ったとします。これは終了シグナルが発生し売りになります。
まとめ
ダウ理論はテクニカルを理解するうえで基礎になる考え方です。トレンドの時間軸を変えた3つの動きや、トレンドの3フェーズ、効率的市場仮説、複数の平均株価を使った判定、出来高の増減、トレンド終了の判定など、さまざまなテクニカル分析で応用されています。
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